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前未来的語り部

懐かしい現在

錦織圭はギアチェンジができる選手

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言わずもがな、現在世界ランキング4位の錦織圭である。錦織の強さは「ギアチェンジ」ができることである。それは一体どういうことか。

 

今日は酒を飲み過ぎた。久々に行ったBARで知り合った女の子と、つい楽しくて長話してしまった。もちろんお酒も進み、バーボンのロック一杯とスコッチのストレートを二杯飲んで、お酒にあまり強くない僕はべろんべろんに酔っぱらってしまった。でも明日は仕事だ。この酔いを翌日の仕事に残すわけにはいかない。一晩寝たらしっかりいつもしゃきっとした自分を演出し、取引先との交渉を主体的かつ有利な状況で攻めていかなければならない。明日は大事な商談なんだ。さ、冷たい水をグラス2杯分飲んでからさっとシャワーを浴びて寝よう。

翌日の目覚めは意外と良かった。胃はトースト二枚を快く受け入れてくれたし、袖を通した瞬間にシャツは身体の一部になったことを歓迎してくれるようにフィットした。出社後は気持ちはほどよく高ぶりつつも、妙に落ち着いており、取引先のちょっとネクタイの派手な部長のちょっとした表情の変化も良く見えた。相手の会社の方針と最近の売り上げ状況を分析したのも奏功した。

こちらの主張はほぼ全面的に受け入れられ、最終的には会社の方向性を決める重要な商談を問題なく成功させることができた。

 

いや、もちろん錦織は試合の前日に「酒を飲み過ぎる」ようなヘマはしないが、少なくとも右足にできたのう胞の除去手術を受けたばっかりの状態で全米オープン準優勝の快挙を成し遂げたのは、紛れもない事実なのである。

そして、なにより試合中でのギアチェンジである。第一セットを取ってから、第二セットで相手の調子が上がって来て、その勢いと気迫に押されてセットを取られてしまうことがある(特にスペインの選手の気迫が乗ってくる第二セットには少し苦手意識があるようだ)。しかし、セット間の休憩を挟んでいざ第三セットが始まると、第二セットの相手に気圧されていたのとはまるで別人のように、相手を鋭く、自由に、攻撃するのだ。

また、セットの中でも大事なポイントになってきたりすると勢いをつけることができる場面も見られる。ここらへんがトッププロたる所以なのだろうか。

アチェンジというのは、自分の中での物語の書き換えであると僕は思う。確かに休憩中に身体が休まるのもあるだろうが、それは相手と条件が同じである。多分錦織は休憩中に自分の中で、今の自分の文脈を書き換えているのではないだろうか(ここらへんは僕の勝手な妄想である)。

「第二セットは気迫の強弱の勝負で、如何に力強いオーラを纏えるかがポイントだった。しかし、第三セットは違う。如何に自分のペースの中でラリーを打ち合えるかの勝負だ。気迫があろうがなかろうが、いつもの自分を保って身体を軽やかに使えた方が勝負を制するのだ」というような。

このようなトリッキーな技は、日本人が得意な気はする。闘牛が栄えているスペインの選手のようなまっすぐな熱さでは負けるが、合気道が生まれた日本の選手はその柔らかさと脱構築で試合を優位に運ぶことに長けているのではないか。

理論が暴走しはじめてきたので、そろそろ筆を擱く事にする。

 

 

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