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前未来的語り部

懐かしい現在

寝不足は貧血を招きます

 新しい年の訪れを祝うように青く晴れた空の下、私は駐輪場の面積の不足を主張するかのように雑多に置かれた自転車の群から、自分の自転車を引いて狭い隙間を縫いながら外の道路に出ようとしていた。

 しかし、慣れない早起き(午前10時起床)が招いた判断力の低下のせいか、私の自転車のペダルと停めてあった他の一台の自転車のペダルが接触してしまった。

 するとその自転車は頻繁に訪れる貧血の症状を引き起こした、うら若き、色白き、切なき一人の少女のようにゆらりと左方向へ車体を傾けていった。

 そして、彼女は隣にいた男子に恋の始まりを予感させるような優雅さをもってもたれかかる。その美しき容姿と可憐な立ちくらみの様に、彼の身体は心と同化するように左方向へと傾斜していった。

 そして、彼は隣にいた女子に恋の始まりを予感させるような繊細さをもってもたれかかる。その魅惑的な容姿と可憐なよろけ様に、彼女の身体は心と同化するように左方向へと傾斜していった。

 そして、彼女は隣にいた男子に…(以下、同様)

 私はドミノ式に倒してしまった何台もの自転車を一台ずつ丁寧に起こして元の位置に綺麗に並べていく。寝不足と筋肉痛によりあまりグッドコンディションとは言えない状態であったが、文句は言えない。
 なぜならその元凶を作り出したのは他の誰でもない、私自身だからだ。

 一つ一つの丁寧な仕事の積み重ねの結果として、私は元通りの雑多で大衆的で平和な駐輪場の風景を復元することができた。これは今日一日で私がこの世に為した大きな達成の一つとなろう。だが、それでも決して誰にも褒められることはない。
 なぜならその元凶を作り出したのは他の誰でもない、私自身だからだ。

 このようにして私は悟ったのである。これが「罪を償う」ということなのだと。
 そして大切なのは睡眠であり、睡眠こそが罪を予防するための最大の準備なのだと。

 あけましておめでとう。